事業内容

次世代スイッチトリラクタンスモータの開発

(大阪大学との共同開発)

スイッチトリラクタンスモータ(SRM)の歴史

1838年

世界初のスイッチトリラクタンスモータの発明

R.Davidson(英国)がSRMで駆動する電気機関車を作製。フォルカークの鉄道上で実験走行。

1850年~1860年

P.G.Froment(フランス)が印刷機用のSRMを製造

1851年

Pageがボルチモア・アンド・オハイオ鉄道で16馬力のSRモータで機関車を時速30kmで走らせる。

1969年

S.A.NasarがSwitched Reluctance Motorという名称を提唱

1980年代

本格的な開発と製品への採用(インバータによる可変速運転)

スイッチトリラクタンスモータの現状

電気自動車への急速なシフトにより、将来、永久磁石式同期モータは永久磁石のコストやレアアースの安定供給などの課題を抱えると予想されます。永久磁石式同期モータの代替モータとして、構造がシンプルで出力密度が高いスイッチトリラクタンスモータが挙げられます。しかし、現状ではスイッチトリラクタンスモータは以下のような課題を抱えているため、トラクションモータへの採用が難しい状況です。

インバータのコストアップ

従来の3相インバータに比べて、ダイオードが多く必要になり、低い力率のため配線容量が大きい

騒音と振動

構造上、永久磁石式モータに比べてトルクリップルが大きい。

スイッチトリラクタンスモータの開発

電気自動車への急速なシフトにより、将来、永久磁石式同期モータは永久磁石のコストやレアアースの安定供給などの課題を抱えると予想されます。永久磁石式同期モータの代替モータとして、構造がシンプルで出力密度が高いスイッチトリラクタンスモータが挙げられます。しかし、現状ではスイッチトリラクタンスモータは以下のような課題を抱えているため、トラクションモータへの採用が難しい状況です。

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12/10型ヘックス結線SRM

(WO2022/113550)

新型SRMは、ステータA~F相の集中巻の6相コイルを有し、同じ相の2つのコイルを並列に並べています。各層コイルの巻始め/巻終わりは、隣接する2相のコイルに接続されており、結線が6角形の形になることから、「ヘックス結線」と呼んでいます。

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図1. 6相12/10型のSRMの断面図

従来の6相インバータの接続

図2は従来の6相インバータの駆動回路です。6相インバータは6つのブリッジで構成されており、各ブリッジは上段と下段の合計12個のスイッチング素子を有しています。用いられるスイッチング素子の数が多いため、インバータコストの高さが課題となっていました。

図2. 従来の6相インバータ

9スイッチインバータでの接続

(特許第7010405号)

そこで開発されたのが図3の9スイッチインバータです。3つのブリッジの各ブリッジには3つのスイッチング素子が直列に接続されています。これによりスイッチング素子を12個から9個に減らすことが可能となります。

図3. 9スイッチインバータ

9スイッチインバータとヘックス結線での接続

(特許第7010405号)

さらに、従来のスター結線に比べて図4のようにヘックス結線を用いることで、トルクリップルの低減、トルク密度の増加することがわかり、9スイッチインバータとヘックス結線の組み合わせることで、従来よりも動作特性の良いSRMとなりました。

図4. 9スイッチインバータとヘックス結線

改良型9スイッチインバータでの接続

(WO2022/113550)

図4の回路を用いて12/10型のSRMをパルス電圧で駆動させる場合のスイッチングパターンは

①右列スイッチON/中列スイッチOFF/左列スイッチOFF

②右列スイッチOFF/中列スイッチOFF/左列スイッチON

のみとなり、中列のスイッチング素子は常に開放状態となります。

そこで図5のように、改良型9スイッチインバータでは、中列のスイッチング素子をすべてダイオードに置き換えることで、等価性能を保持したままコストとサイズダウンが可能となりました。

図5. 改良型9スイッチインバータとヘックス結線

改善された点

従来の3相非対称インバータよりダイオード数を6から3に減らし、コストとサイズダウンが可能。

ヘックス結線の採用により、中性点が不要のため、コイルエンドの高さを低減。

トルク密度の増加

トルクリップルの減少

次世代スイッチトリラクタンスモータの展望

2014年

電流重畳可変磁束リラクタンスモータの開発

2016年

ヘックス結線の提案

2020年

改良型9スイッチインバータとヘックス結線による制御の実現

次世代のSRMへ…!